ミルコの趣味雑談

趣味を持つ事は大事です。始め方や、道具を揃えることなど雑談です。

格闘技と武道と趣味vol11~平塚道場開設とKW君~

《平塚道場の開設》

大学拳法部のゴタゴタが落ち着いたところで、KW君とも連絡を取りながら、住んでいる平塚海岸近くの公民館と交渉して、毎週日曜午後2時間程借りる事が出来た。

二階の200㎡程のフロアーは手合いなどするにも丁度良い広さだった。まずは、自分の長男とその友達3~5人に声を掛け、子供の指導をする事でスタートした。

KW君も月に1度程度来ることができると言う事で、近所の30代の男性もたまたま、公民館に来ていた時に練習を見て入門を申し出てくれた。

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《道場らしく、武道らしく》

当初は、動きやすいジャージ等で参加してもらう事として、子供も大人も練習することとしたので、傍から見れば、道着を着ている私が武道のPRになっている程度で、ヨガ?健康体操?と何をしているんだろうと言った感じであったと思う。

ネットショップから子供の道着を探し、会社の取引先にお願いして、簡易印刷で胸章を作って貰い、武道専門ショップから、拳サポーター、脛サポーター、ヘッドギア、ミット、棍等を徐々に揃えた。今思えばかなりの出費だったが、無駄なものは無かった。

新格闘技ベーシックマニュアル(自作)が役に立ち、月謝や道場の運営などをそれに沿って、自ら実践する事になった。

平塚支部とは言いながら、福岡本部道場から支援を求めること無く、実質独立した道場であった。敢えて許可を得たと言えば、昇級、昇段ルールを定めていたので、その結果を本部S先生に報告し、了承を得て、新格闘技での格付けを受験者に行う事が本部との繋がりだった。

昇給昇格は一定の練習量をこなしている活動報告で、遠地でも新たな同志が増えている事を伝えたかった。

《拘った練習》

練習には拘った。少林寺拳法、テコンドー、太気拳いずれ動きも練習に取り入れて、練習の終わりには自由組手(手合い)をさせた。

最初は闘う事と練習で行う突き蹴りが、噛み合わないのが普通で、まず、子供では押し相撲から始めて体重移動を体感させた。

大人は柔軟性が重要なので、筋をほぐし、ストレッチをしてから、お互いの手の甲側の二の腕を付けての押し相撲(体重を腕に伝え、自身の体勢を崩さず、相手に力を伝える練習)を繰り返した。

「型」は必要だと感じます。全て始める時はカタチから入るという言い方をしたが、型がキッチリできる事で、動きに安定感が出る。

動きが変だなあとか、うまく間合いが詰められない、攻撃が出せない時に、一度型に戻り、細部を点検してみると、重心の移動きや、下半身と上半身のバランスを修正することができ、そのうえで、またフリーの実践的動きをしてみると、しっくりする。(型ばかりすると逆に実践では、使えない事もあるので注意が必要です)

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《スポーツを基礎体力向上に取り入れる》

格闘技に拘らず、別にスポーツを織り交ぜるのも基礎体力強化には良いと思うし、全身運動ではあるが、負荷のかかる部位が格闘技は膝や関節へのダメージが大きいため、走る事より、泳ぐことの方が良いと言うのが私の経験上の答えである。

子供は特に走るより、泳ぐことの方が楽しいだろう。水の抵抗の中でしっかり足をあげたり、手で水を搔く動きはナチュラルなトレーニングになる。

《身近で一番の武器は棒(棍)》

主具として棒(棍)を取り入れた。いざと言う時に近くの物を使って身を守るには、棒が一番使えるのはすぐわかる。

物を使った戦い方は、素手とは違う間合いと、体の使い方となり体で覚えておくは、どういった状態でも素早く最小限の動きで最大限の抑止効果を得るためには必要だ。

少林寺拳法でも棒を使う事は許される。しかし体系化されたものでは無い。単に禅を演武と言う、”見せる武道”を演じる時の小道具に過ぎない。

私の棒術は中国拳法の棍法を参考に”突き”、”打つ”、”払う”、”引っ掛ける”等様々な動きを一つの体系的型の中に織り込み棍法の方として第一~第二にまとめた。

少林寺拳法で使う錫杖は重く威力はあるが、子供には扱えないし、重さにより扱い方が若干変わってくるので、中国武術で使う棍を探して使う事とした。子供は背丈が低いので、4尺棍(1.21m)、大人は6尺(1.81m)棍が使いやすい。

棍には幹(みき)と梢(こずえ)がある。その為、棍の重心は中央より若干幹側にくる。これにより握り手もこの重心を支点に握り、梢を相手に向けて、幹側から突くように押し出すのが棍の使い方の基本である。

回したり、振ったり、叩いたりする場合の扱い方も、この基本による。後はどのような体勢からも、棍が体の一部の様に自在に扱えるようになることを目指す。

ゴルフのクラブと同じで、常に触っているとで、微妙なバランスのずれや、梢の位置や、相手との距離感が判るようになるものである。

沖縄空手身にはヌンチャクやトンファー、サイなどがあるが、いずれも特殊な形をしており、扱いには習熟を必要とするが、普段このようなものが身近には無い。せいぜい、市販品として目にするのは警棒位で、警棒も棍法の要領で扱い方を習熟することができる。

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この時期の修行はS先生から離れて、生涯武道を目指した武道人生では、選手から離れて、自分の信じる武道を熟成させると共に、次世代の人たちに教える事に注力した時期である。(子供が中心であったが…)

格闘家としての強さは、多分伸びる事は無かったと思うが、充実した修行であった。およそ7年間続いたがあっと言う間であった。

教え子たちにの昇級・昇格は、8級から始め、平塚を離れる時には有段者のレベルまで昇格試験を行えるところまでの成長を見る事ができた。

自分の長男は早生まれだったので、体も同学年の子供より小さく、いじめられ易いタイプだったが、この道場の仲間といることで、小学校でのいじめからは守られた気がする。

《古風なKW君》

㎾君は3年程月一で東京から平塚まで来ていたが、名古屋に転勤になり、一時期来れなくなったが、暫くして落ち着いたからと、また名古屋から来るようになった。私以上に武道に熱い思いのある。好青年である。

その後も大阪や、高松に転勤したが、交流は続いた。50歳前後での初婚だったが、細身だったが、筋肉質で常に体を鍛える事が趣味の様な人だ。格闘家としての力量は、攻守ともにオーソドックスなタイプであり、性格が良く出ていた。

一度、福岡への帰省時に声を掛けて、S先生の所に一緒に挨拶に伺う事にした。事前にS先生には話していたが、会ってS先生もとても気に入って、わざわざ、新品の道着にネームを入れてプレゼントし、KW君の労をねぎらってくれた。

今どき珍しい一本気の性格で、好きな映画が「男はつらいよ。フーテンの寅さん」と言う、古風な性格であるが、KW君には男気を感じる。良い出会いであった。

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