格闘技と武道と趣味vol6~テコンドーとの出会い~
《テコンドーと二足のわらじ》
新格闘技は創始したのがS先生なのでN先生グループが少林寺拳法では上位組織であった為、グループの道場が新格闘技に賛同して参加するとなると、N先生グループのトップにS先生が立つ事になってしまいます。そうなるとN先生との関係をどうするかが微妙な問題となる為、敢えて、よその道場を取り込むことはせず、自道場内の充実に重きを置いた。
《新格闘技の模索》
そこで考えたのは、それぞれの先生少林寺拳法を続けようが、他の武道、新格闘技を始めようが、それは別に、統一ルールを作り、フリー参加の総合格闘技大会を開催し、そのルールの周知や少林寺拳法との違いや、その対応をS先生が中心になってグループ道場に声かけして合宿などをN先生グループ内で行った。
丁度その頃、N先生が、テコンドーがソウルオリンピックからオリンピック競技になる為、現在韓国が積極的に競技人口を増やそうとして、空手や、キックボクシングジム等のオリンピック競技として認められていない格闘技団体に対して、「オリンピックに出れる」のを餌に、盛んにテコンドーをPRしてきていたのだ。
テコンドーを習うのであれば、日本で言う柔道の講道館の様な、韓国の国技館(クッキオン)から指導者を派遣してくれると言うような話をしてきた。これをN先生グループの次なる普及武道として道場経営、グループ運営しようと言う提案だ。
《テコンドーのイメージ》
テコンドーと言っても何のイメージも無かったが、空手着の襟を黒くした道着に、空手に比べて腰の位置が高く、K-1が正道会館をベースにしている様に、空手をベースにした競技性を高めた格闘技くらいの印象だった。
空手が柔道に対する徒手空拳の打突系武道の代表イメージを持つ日本では、韓国アレルギーもあり、普及は難しいと感じた。試合を見ても軽さを感じ、俗に言うカッコよさが無いので、苦戦すると感じた。
《オリンピック競技としての勢い》
しかし、だからこそ、これから一から始める格闘技としては、オリンピックの波に乗れば、認知度も高まり、支援が充実しているかと言うセーフティネットにも若干期待できた。
指導者の派遣は本場韓国からと言うことで、意気込みを感じたし、既に習っている武道で段位を取得しているのであれば、派遣する指導者の承認のもと、クッキオン認定の段位取得を日本でできると言うのも優遇されていると感じた。
N先生等はメンツもあり、最初から名誉段位を要求し認められていた。(まあ、グループの長だからカッコ付けないと門下生の手前、示しが付かないと言う事だろう)
《テコンドーを始める》
少林寺拳法から離れ方向性が定まっていないN先生グループは、渡りに船でこの話に乗った。クッキオンから李さんと言う40代前半の高段者が派遣される事になった。
しかし、派遣だけで生計は派遣先で面倒を見る前提とのことで、月謝の一部を李さんの給料にあてがい、数道場の指導を2年間専業契約で合意し、テコンドー修行がスタートした。
当時福岡には岡垣町に福岡県連盟の本部道場があるとのことで、数度行ってみたが、あまりぱっとせず、N先生もそこ配下に入る気はなかったのだろう。既存の組織にはあまり良い噂を聞かないのが状況だった。
S先生は李先生からのレクチャーを受けるまでも無く、競技、練習風景をみてポイントを把握しており、直ぐに同様の動きができていた。
《実感した違い》
突きは空手とほぼ空手と一緒。蹴り方も同様であったが、繰り出し方や、回転してからの蹴り、後ろ蹴り、跳躍しながらの足刀やネリョチャギ、回し蹴りや、後ろ蹴り、正面から蹴り上げて横に並んだ人の顔面蹴るとか、ユニークな技が多い。この蹴り技のタイミングの取り方や重心の移動は練習が必要だったが、実践的だと感じた。